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時間の原点−影が時を刻む日時計「笠山日時計」
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笠山日時計
笠山日時計は仰釜日晷(ぎょうふにっき)とよばれる半球型の日時計です。半球型の内面が受影面で、北極を指しているノーモン(影針)が太陽の影を投影し、時間とともに季節(二十四節気)も知ることのできる科学的な日時計です。

仰釜日晷(ぎょうふにっき)
設置場所:山口県萩市椿東奈古屋1189(笠山中腹海抜44m)北緯34度30分、東経131度23分
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仰釜日晷とは?
朝鮮王朝の世宗時代(1418〜1450年)に作られた半球型の日時計です。これと同種の日時計は、今から350年前頃、李朝の宮廷内外で庶民の公衆時計として盛んに使用されていました。"仰釜"とは底のくぼんだ釜が天空を仰いでいる形をいい、"日晷"とは太陽の影のことで、すなわち日時計の意味です。
仰釜日晷の特徴
 笠山日時計は玉石と呼ばれる韓国の黒御影石でつくられています。黒御影石は熱膨張係数がきわめて小さいので、測定用の定盤や精密機器の台座として利用されています。
 仰釜日晷の特徴は、半球型のくぼんだ受影面にあります。半球内面に投影されるノーモンの影の動きが天空の太陽の動きと相似しており、平面型日時計に比べると太陽の位置と影針の影との関係がよくわかります。
構造と原理(時刻)
半球型にくり抜かれたて内面に時刻線が定時法に基づいて縦線で画かれています。1日は12時間で96刻法(朝鮮後期の時間制度)になっています。日時計の1時(いちどき)が現代の2時間に相当し、1刻が15分に相当します。
構造と原理(季節)
半球上部の水平部分に太陽の黄経にしたがう、二十四節気と24の方位を表わす文字が彫られています。時刻線に直交する13本の横線が季節線で、二十四節気が画かれています。北極を指すノーモンが移動する太陽の影を投影し、その目盛から時間と季節の両方が測定できます。半球内面の一番上側が冬至の線で一番下側が夏至の線です。影針の影は冬至線から夏至線まで下がり再び冬至まで上がっていくと1年が経過したことになります。太陽の高度は夏至の時に一番高く、冬至に向かうほど低くなりますが、影の長さは逆になります。すなわち、冬至の時、影の長さは最も長くなり、夏至の時、最も短くなります。この原理を誰もが目で測定し、理解できる点が、仰釜日晷の優れた特徴であるといえます。
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図2 二十四節気を表す季節線と影針の影の長さ
図2は、ノーモンの先端が太陽の影の長さを投影しているのを表わしています。季節によって影の長さが変わっていくことを13本の季節線で表しています。1年間の二十四節気名は半年ずつ左右に分けられ、漢字で記されております。冬至から夏至までの間は左側の節気名を見ます。この半年間は太陽の影は上方から下方に順々に短くなっていきます。また、夏至から冬至までの間は右側の節気名を見ます。この半年間は太陽の影は下方から上方に順々に長くなっていきます。
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日時計の時刻と現代時刻の関係
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12時96刻法
朝鮮時代の時刻制度は1日が12時(時間)で100刻に等分した12時100刻法を使用していましたが、17世紀中頃(朝鮮後期・1653年以降)に西洋式の時間測定法が導入されて12時96刻法に改められました。
当時の1時(とき)はこんにちの2時間に相当します。この1時は初と正の二つに分けられており、初と正は各々4刻ずつあり、初刻、一刻、二刻、三刻と呼びます。1刻がこんにちの15分に相当し、4刻がこんにちの1時間に相当します。(図3、図4を参照)
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真太陽時と現代の平均太陽時
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日時計の時刻は"真太陽時"を表わしています。定時法の場合、太陽の軌道を12等分して時刻を表示しますと、1日が360度ですからその12分の1は30度(この角度を時角と呼びます)です。日時計は時角30度が1時(とき)で現代時間の2時間に相当します。(時角15度が現代時間の1時間)
※笠山日時計には時刻線を表わす当時の十二支(漢語)とは別に、現代の時刻を認識しやすいようにアラビア数字をつけています。
※日時計は影針が太陽の影で時刻を知らせてくれる意味において"真太陽時"以外には考えられません。一方、私たちが現在使用している時間は"平均太陽時"です。これは、地球が太陽を一回りする1年間の速度を平均して1日を24時間と定めたもので、季節による時差があります。さらに、この平均太陽時は北半球では東経135度を基準にして決められており、経度の違いによる時差もあります。日時計の時刻を現代時刻に合わせるためには、真太陽時を平均太陽時に換算する「時差補正表」を利用します。図5は、「笠山日時計」が設置されている経度に合わせてつくられた「時差補正表」です。
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均時差の発生と原因
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黄道上の太陽の速さは決して一定ではありません。地球の軌道が楕円だからです。そこで、地球が太陽に一番近い点(1月初旬)では太陽の動きは最も早くなり、太陽に最も遠い点(7月初旬)では遅くなります。
また、黄道は天空上の赤道に対して23.5。の傾きで交わっており、両者の交点が春分点と秋分点です。この傾きのために日本などの温帯では太陽の高度が夏は高く、冬は低くなり、日の出や日の入りの方位が大きく変化します。つまり、日本では太陽は東西方向に対して30。も夏は北寄りに、冬は南寄りに出入します。このために夏は日が長く、冬は短くなります。これは、太陽が黄道上の東側に移動するとき春分・秋分付近では遅くなり、冬至・夏至付近では早くなることを意味しています。
結果として、太陽の南中時刻(子牛線を通過する時刻)は1年を通じて大きく変化をしており、東経135。の地点でさえ、2月中旬には平均より14分遅く、11月上旬には16分も早くなっています。このような理由から発生する時差は、
真太陽時と平均太陽時の差であり、"均時差"といいます。
日時計の時刻を現代時刻に合わせるためには、日時計が表示する真太陽時を現代の平均太陽時に換算する必要があります。
すなわち、この均時差を補正し、平均太陽時に換算するものが「時差補正表」です。時差補正表では、1年を通じた太陽の複雑な速度変化が計算されています。また、日時計設置場所の、経度差を計算しており、標準となる明石(東経135度)より1度東によるごとに4分差し引き、1度西に寄るごとに4分加えています。笠山日時計の設置場所が東経131度23分ですから、補正表には約14分プラスされています。
この補正表は朝鮮時代には必要ありませんでした。当時の時間は、実際の太陽の動きに基づいた"真太陽時"によって時刻を測定していたからです。
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笠山日時計の豆知識
東アジアでは古くから天体の観測によって暦が作られました。人々はこの暦書に基づいて農事やまつりごと(政事)を執り行い、漁にも出かけました。時刻の測定方法は天文学・暦法の発展によって次々改められてきました。
「笠山日時計」は今から約350年前、朝鮮(王朝)の宮廷内外で公衆時計として使用されていた日時計の複製品です。これは李王朝の第四代王である世宗が製作した「仰釜日晷」(ぎょうふにっき・韓国宝物845号)と呼ばれる日時計で、17世紀半ばに西洋式時間測定法が加わり、それまでの十二時百刻法が十二時九六刻法に修正された後のものです。
日時計の本体は韓国で玉石と呼ばれる珍しい黒御影石でつくられています。玉石は結晶が光を受けて反射し、近くに寄ると見る角度によっては光の輝きが宝石のように美しく変化します。
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「笠山日時計」は、萩市と韓国京畿道利川市の市民有志が日韓両国の友愛と国際親善を願い、<韓日ワールドカップ共催>の年を記念して製作することを思い立ち、2002年8月に利川市で製作されました。
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朝鮮王朝の世宗時代(1418〜1450年)には、首都漢陽(現在のソウル)を基準にした新しい時刻制度が始まりました。世宗王は一年の長さがそれまで365.2425日であった授時暦を校正させ、天体位置の表示には二十八宿を基本とした「七政算内篇」を編纂させました。すなわち、平均太陽日(恒星年)を365日.2575(現代365日.2564と近似)、周天度(円周)を365度25分75秒(三六五度四分の一度)としたのです。(一度は100分、一分は100秒の角度法を採用。)後になって、二十八宿の代りにアラビア方式に準じた十二宮<zodiac>を基準とした「七政算外篇」(5巻)を編纂して、周天度を360度、1度を60分、1分を60秒としました。

この七政算の計算法は1643年(寛永20年)、朝鮮通信使の一員であった朴安期によって日本にも伝わり、彼に師事した岡野井玄貞の弟子、渋川晴海が「貞享暦」という日本最初の暦を作るときに参考とされました。

天文学を大きく発展させた世宗王はハングルを創製した王でもあり、学問や芸術面にも優れた業績をのこしています。
「笠山日時計」は世宗王が製作した「仰釜日晷」(ぎょうふにっき)と呼ばれる日時計と同じ形です。ただし、時間の測定法は十二時(とき)九六刻法に変わってから以後のものです。
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時刻表示の豆知識
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十二時九六刻法では毎時が八刻です。一刻は現在の15分に相当します。こんにちの0分から15分までを初刻、15分から30分までを一刻、30分から45分までを二刻、45分から60までを三刻といいます。一時(とき)は現代の2時間に相当し、十二時=九六刻が1日です。なお、一時は初(初め)と正(中間)があり、それぞれ四刻ずつに分かれており、初は初初刻、初一刻、初二刻、初三刻、正は正初刻、正一刻、正二刻、正三刻と呼ばれています。
午前零時から翌日の午前零時までが一日であり、時刻の計算方法は一日を、十二等分した定時法で表わします。十二時(とき)は、十二支で記され、子(23時〜1時)、丑(1時〜3時)、寅(3時〜5時)、卯(5時〜7時)、辰(7時〜9時)、巳(9時〜11時)、牛(11時〜13時)、未(13時〜15時)、申(15時〜17時)、酉(17時〜19時)、戌(19時〜21時)、亥(21時〜23時)となっています。
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監修:國守 進(山口県立大学名誉教授) 協力:韓国科学事物研究所(宝物コリア)
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* * 「笠山日時計」解説書
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